「ブラック企業並み」「条件キツすぎ」。
2020年に開催する東京オリンピックのボランティア募集条件に対するネットの反応である。
本当にヤバくブラックなのか?それでもなお参加する意味はあるのか?
オリンピックボランティアのウラとオモテに迫ってみたい。
ハードルが高い?ボランティアの募集条件
オリンピック委員会が公式に募集しているボランティアは、大会ボランティアと都市ボランティアに分かれている。
大会ボランティアは競技会場や選手村での活動が主であり、都市ボランティアは空港や駅、観光地などが活動の場である。
両ボランティア合計9万人を応募しており、これは2012年のロンドンオリンピック(7万8000人)や2016年のリオオリンピック(5万1700人)よりも多い人数である。
大会ボランティアと都市ボランティアで応募条件は若干異なるが、主に下記のとおりとされている。
ボランティアと聞くと気軽に、スキルなしでも申し込めるイメージがあるが、オリンピックに関していえばそうでもなさそうである。。
難関は幾つかありそうだ。
時間の問題は顕著であり、ボランティアの妨げになる要因の第一位は、そもそもボランティア活動に参加する時間がないという調査結果もある。
これについては、個人だけでなく国や都市を上げて、纏まった休みを捻出できるよう、働き方を変えていかなければならないだろう。
纏まった時間を確保すること、ボランティア経験を積んでおくこと、英語や他の言語でコミュニケーションがとれること。
なかなかのスペックの人間である。
果たしてどれくらいの人数が、このスペックを有して集まって来るか。
期待するとしましょう。
無報酬&自費負担
ボランティアの定義はいろいろあるが、厚生労働省はボランティア活動の性格を「自主性(主体性)」「社会性」「無償性(無給性)」としている。
このためボランティアと名が付いた時点で、自主参加であり無給活動なのである。
オリンピックは国全体で盛り上げるイベントなので、ボランティアを募ること自体は良いことだと思う。
ただ通常であればボランティアを超えているであろう活動までも、無給のボランティアをとして募集しているのには違和感があるだろう。
募集要項を見てみると
・取材メディア(国内,海外)のサポート
・競技選手のドーピング検査
・外国人の大会関係者にそれぞれの言語でサポート
など、高度なスキルと経験が必要な活動内容も含まれている。
ゼネコンやらデザイナーには多くの資金が投入されている一方で、これらの重要な活動は無償かつ自費負担、というのは確かに不満がでてもおかしくないと思える。
無給ボランティアと有給ボランティア(矛盾しているが、、)のグラデーションがあってもよいのでは、と個人的には考える。
二度とない貴重な経験
これまでオリンピックボランティアのウラの部分、すなわちデメリットについて書いてきたが、参加するメリットもまた少なくないと思う。
何と言っても自国開催のオリンピックを身近なスタッフとして経験できるのは、今後の人生でも掛替えのないものとなるだろう。
リオオリンピックのボランティア経験者である、インゴ・ウォルク(Ingo Woelk)さんは次の様に語っている。
出典;東京オリンピック公式
ボランティアとしてオリンピックに参加することは、世界最大級のスポーツイベントがどのように運営されているか、裏側を見ることが出来るし、世界中から集まる記者とも出会える。
出典;東京オリンピック公式
そして我々日本人にもメッセージを贈ってくれている。
ホスト国として海外の方を迎えられるのは、本当に素晴らしいことだと思いますよ。そして、ボランティアはすごく楽しいです。日本の皆さんも楽しんでボランティアに参加されるとよいと思いますよ
出典;東京オリンピック公式
オリンピックのボランティア経験は大変すばらしいものだったに違いない。
コトが重視される現代。これ程経験して自慢できるコトもまた少ないだろう。
日常に退屈している方や、オリンピックを身近で感じたい方は、是非参加するとよいだろう。
お金で買えない価値がある。
プライスレス。プライスレス。
おわりに
きっと多くの方が、時間があって、あまり難しくない仕事であれば、いい経験になるのでやりたい!と思うだろう。
何だかんだで、お祭り好きであるし、困っている人がいたら最後は助けてあげたくなる国民である。
ボランティア参加者と各国の選手、その他関係者皆がハッピーとなれるような、そんな提案を心待ちにしたいと思う。